こんばんわ!介護士のがんちゃんです!
今日は在宅介護で入浴をさせる際の注意点をご紹介します。
高齢者の入浴はリスクが高く、万が一転倒してしまった場合には
- 骨折
- 表皮剥離(皮膚が剥けること)
- 裂傷(皮膚が裂けること)
- 頭部外傷(頭に外から力が加わることで頭の皮膚、頭蓋骨、脳の損傷をきたすこと)
と言った大けがをすることがあります。
これらのケガをすることで、今までの生活が困難になるケースや最悪死に至る場合もあります。
今回は
- 高齢者の入浴事故が起きる理由
- 入浴時の便利で安全な福祉用具
- 福祉用具を活用することで家庭浴槽に入ることができた実例
を紹介していきます。
高齢者の入浴事故はなぜ起きる?その原因は5つ
① 滑りやすい
まず一番は滑りやすいという点です。
浴室は濡れているため、とても滑りやすい環境です。
ただでさえ滑りやすいのに、シャンプーや石鹸を使用した後は非常に滑りやすく、昔ながらの家では床にタイルを使用しているため、転倒した際に大ケガに繋がるリスクは高くなります。
② 掴むところが少ない
浴室は滑りやすいと言われながらも、実は手すりが少ない家庭が多いのです。壁に手を当てるだけでは滑った時に支えるのは困難です。
③ 浴槽をまたぐときは片足に
高齢者が入浴時に一番転倒しやすいのは浴槽をまたぐ時です。
浴槽をまたぐときは一瞬とはいえ片足で立たなければなりません。
足の筋力が落ち、バランス感覚も弱っている高齢者にとっては浴槽をまたぐだけでもとても危険です。手すりが無い家庭も多いのでさらに危険と言えるでしょう。
浴槽をまたぐ際に転倒した場合、手で支えることができないため、直接身体や頭を打ちつけてしまい、大けがに繋がるリスクも高いことが分かっています。
④ シャワーチェアからの転落
入浴時に安易に考えられるのが、シャワーチェアです。椅子なら何でも大丈夫。と安易に考えるのは大変危険です。
背もたれ、ひじ掛け、そして高さ調節、滑り止め対策も転倒、転落防止には重要です。
⑤ 溺水
入浴中に一番多い事故であり、一番深刻な事故でもあります。
高齢者が一人で入浴中溺れた際には亡くなることも多くとても危険です。
浴槽内の湯量や湯温だけではなく、浴槽内の姿勢も大切です。
入浴時のリスクを減らし、介護者の負担もできるおすすめの福祉用具
滑りやすい浴室内の対策はマットレス
滑りやすいのは浴室内だけでなく、浴槽内も危険です。
私たちの介護施設でも、洗い場と浴槽内の2か所に滑り止めマットレスを敷き、安全対策に努めています。
おく楽すべり止めマットは切っても使用できるため1枚購入し、洗い場、浴槽内と使用できお財布に優しい商品です。
それから、各家庭の浴室に合わせ、必要な分のみ使用することもできます。
掴むところが少ない場合は吸盤式の手すり
浴室に手すりを設置するのは容易ではありません。
そんな方にはこちら。吸盤式 手すりです。
浴室にも設置可能で穴開けやネジ工具を必要としないものです。吸盤式の手すりのため、壁だけではなく、浴槽内にも設置可能な商品です。
【介護 福祉用品】吸盤式 手すり ≪ユニトレンド≫QUICK BAR クイックバー 【UNI-350-W】
浴槽をまたぐときは座って
浴槽をまたぐときが一番危険です。
そんなときには浴槽の側面に設置し座ったままでも浴槽内に入ることのできる移乗台が便利です。
パナソニックエイジフリーライフテック 移乗台 N-500 VAL13001
この移乗台の最大のポイントは浴槽を跨ぐとき、座ったまま入ることができる商品です。リスクの高い片足立ちをしなくて済むということです。
実際に介護施設で使用している所は多く
- 立つ
- 片足を上げる
- 跨ぐ
- 座る
という動作が難しい人でも、移乗台があることで家庭浴槽に入ることができます。
④ シャワーチェアからの転落
シャワーチェアも入浴事故を防ぐ上で大切な福祉用具です。
一般的に使用しているシャワーチェアは
- 座面が滑りやすい
- 背もたれ、肘当てがない
- 座面が低い
といった問題があり、高齢者には不向きで、入浴事故に繋がりやすくなります。
それらを全て解決してくれる商品がこちら。
さらには肘かけが跳ね上がり、移乗しやすく、折りたたみ式のため収納にも困りません。
座面と背もたれは取り外し可能なため衛生面も心配なし。シャワーチェアの性能としては言うことなしの商品です。
溺水には高さ調節付き浴槽台
溺水は先ほど紹介したように、とてもリスクが高く高齢者の入浴事故においては最も件数の多い事故となります。
浴槽内の湯量が大切ですが、毎回お湯を足したり、抜いたりすることは大変であり経済的にも負担になります。
そのような方には高さ調節付き浴槽台を使用しましょう。
浴槽内に入れる椅子です。湯量や座高に応じて高さ調節もできるためとても安心して入浴ができる商品です。
特に身長の低い高齢者や腰が曲がっている円背(えんぱい)の方におすすめします。
その他おすすめの福祉用具
入浴のための福祉用具は他にもたくさんあります。
その中でも在宅介護に入浴で使われている、物を紹介します。
アロン化成 安寿 高さ調節付浴槽手すりUST-130 ブルー
移乗台まで必要ないが跨ぐときに不安な方はこちらの商品をおすすめします。浴槽に取り付けるだけで、浴槽を跨ぐときやお湯に浸かっている時に使用できる手すりです。
穴あけ工事なども必要なく手軽に使用できる商品となります。
以上6つの入浴時の福祉用具を紹介しましたが、これらの福祉用具は実際に介護施設で使われており、私たち介護職員の介護負担を軽減してくれる商品となっています。
福祉用具を活用することで家庭浴槽に入ることができた実例
就職して1年目のこと。何も分からず、福祉用具さえもきちんと理解していない頃でした。
普段、特殊入浴(機械に座って入る入浴)をされている方に
と言われました。
立位(立つこと)もできない人でしたが、
高齢者の望みはなるべく実現しようと思い、家庭浴槽で入ることになりました。職員の数には限りがあるため、1対1の入浴となり、その時に活躍したのが今回の福祉用具です。
会話は成立する高齢者のため、随時説明しながら、ゆっくりと入浴する時間ができました。この時、福祉用具は安全にそして、介護者の負担を軽減できる物だなと実感したことを覚えています。
実際の福祉用具を使うことで、一般浴が難しそうな方も、入ることができるだと実感しました。
その高齢者も
と満足そうに話してくれました。
毎日介護を行っている私たちでさえ、今も尚、福祉用具なしでの入浴となると
恐怖心、不安、危険との隣り合わせです。
家庭の入浴では福祉用具を使わず、入浴する高齢者も多いと思います。
まとめ
高齢者の入浴はとても危険が潜んでいます。
入浴時の事故は大けがに繋がり、最悪のケースに至る可能性があることを忘れてはいけません。
安全に入浴することは心地よい入浴になり、心地よい入浴ができることで、介護者の満足感を得られ肉体的負担も軽くなります。
「最近うちのおじいちゃん、おばあちゃんのお風呂が心配だな」
「足腰が弱ってきているから転ばないかな」
「しっかり座っているつもりでも傾いているな」
と思っている家族の方、今回紹介した福祉用具の活用し、安全対策に努めてみてはどうでしょうか。