こんばんわ!現役介護士がんちゃんです。
今日はとろみ剤の危険性についてご紹介いたします。
高齢者の食事には欠かせないとろみ剤。在宅介護で利用されている方も多いのではないでしょうか。
嚥下(えんげ)レベルが低下すると、誤嚥(ごえん)し、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や窒息になる可能性もあります。そのような事を防ぎ、安全に食べることのできる物が「とろみ剤」となります。
- 嚥下(えんげ)…口の中に入った食事や水分を胃に送ること
- 誤嚥(ごえん)…飲み込むときに飲み物や食べ物が気管に入ってしまうこと
- 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)…誤嚥したことで肺炎になってしまうこと
そんな便利なとろみ剤ですが、使用方法を一歩間違えると非常に危険なことをご存知でしょうか。
今回はとろみ剤の危険性と安全な使用方法をご紹介いたします。
とろみ剤の使用量をチェック!
まずとろみ剤を入れる飲み物や水分の摂取量について簡単にご紹介します。
介護で必要な水分量は1食につき300㏄が目安となります。
平均的な食事で見てみると以下のような水分量となります
お茶・麦茶・ジュース | 150cc |
味噌汁・すまし汁 | 150cc |
合計 | 300cc |
トータル300㏄飲むことで、脱水を防ぎ、尿も多く出せるため身体への負担が減少します!
※300㏄は1日の水分量ではないのでご注意ください。
あくまで300㏄は目安量となります。
心臓の弱い方が一気にたくさんの量を飲んでしまうと負担になり、身体が大きい方はトータル350㏄~400㏄の水分を摂ることもあります。
水分量にも個人差がありますのでご注意ください。
なぜ1食の水分量を説明したのかというと、
1食分の水分にどの程度とろみ剤を入れるのか?
が重要になってくるためです。
例えば
- ジュース150㏄に対し1杯入れるのか、2杯入れるのか
- 山盛りの1杯か、すりきりの1杯か
- 水分200㏄に対し何杯入れるのか
というちょっとした違いでもとろみ(固さ)は大きく変わるので注意していれる必要があるわけです。
とろみ剤の危険性【使用量に注意しよう!】
ここからが本題です。
とろみ剤は摂取する水分量に応じて、使用する必要があります。またその日の体調にもよって分量を変える必要があります。
普段使用しているとろみ剤の量と異なって入れた場合、どのようなケースが想定されるのか経験を元にご紹介します。
① とろみ剤を少なく入れた場合
普段は「とろみ剤を150ccに対して2杯入れる」方に「とろみ剤を1杯しか入れなかった場合」はどのようになるか。
個人差もありますが、ムセてしまうケースが多いです。
いつもとろみ剤を2杯入れる方は固めの水分を摂っています。
その方が緩めの水分を摂ることで水分が気管に入り、ムセてしまうことが多くなります。
「今日は調子が良さそう」「甘いものは好きだから」と、とろみ剤の量を減らす時には一気に減らすのではなく、少しずつ減らすことが大切です。
②とろみ剤を多く入れた ←非常に危険
普段「とろみ剤を2杯入れている方」が「とろみ剤を3杯~4杯、それ以上入れた場合」どうなるか。
これは非常に危険です。
とろみ剤は、多くの量を入れると飲み込むことが出来ない位に固まります。
※イメージとしてはコップを傾けてもこぼれず固まっているような状態です。
嚥下レベル(飲み込む力)が低下している方に、必要以上の量のとろみ剤を入れると窒息し、最悪死に至ることもあります。
とろみ剤は絶対に入れすぎないよう十分注意してください。
とろみ剤使用時の注意点
とろみ剤は少しの分量の違いでもお年寄りには大きな影響を与えます。
そのためとろみ剤を使用する際には以下の点に注意する必要があります。
- とろみ剤の量、水分の量、スプーンの大きさは統一しよう。
- 安易な考え方でとろみの量を変えない。
- とろみ剤を入れすぎない
とろみ剤を安全に使うために注意すべき2つのポイント
とろみ剤は使い方を間違えると非常に危険ですが、介護には欠かせないものです。安全に使用するためには以下の2つを注意してください。
① とろみ剤にダマができていないか?
とろみ剤を一度入れ、数分後に追加して入れると確実にダマが出来ます。
とろみ剤をいれる際にはなるべく1度で入れるようにこころがけましょう!
またとろみ剤は時間の経過と共に固くなります。とろみ剤を入れてから長時間放置せずにすぐに提供できるようにしましょう!
② コップの底にとろみ剤が沈殿していないか?
とろみ剤を入れ、そのまま放置しておくとコップの底にとろみ剤が沈殿しています。表面は全くとろみ剤がついてないので、入れたらすぐに混ぜましょう。
混ぜるのもスプーンより泡だて器の使用をおすすめします。
この2つは基本であり安全に食べることに繋がります。
とろみ剤をこぼした・・やってはいけない危険なこと
とろみ剤の危険性は実は使用するときだけではありません。とろみ剤は粉状のものが多くあります。こぼした時の片づけ方にも注意が必要です。
① とろみ剤を粉状のままこぼしてしまった場合
とろみ剤は多くの場合が粉状です。
もし水分に入れる前の粉状の状態でこぼしてしまったら・・
食事をこぼしたら水拭きをしたくなりますが、水拭きは絶対にやめて下さい。
とろみ剤は水に濡れると固まり、とても滑りやすくなります。高齢者だけはでなく、介助者も滑って転んでしまいます。
粉状のとろみ剤をこぼしてしまった際には、まずほうきとチリトリで掃き掃除を行ってください。そのあとに掃除機で吸い取ることをおすすめします。
それでも気になる方は、水拭きを行い、最後に水分を良く拭き取りましょう。
とろみ剤は少量でも残っていると、汗で滑ることがありますので、確実に無くすことが大切です。
② とろみ剤の入った水分をこぼした場合
とろみ剤の入った水分をこぼしてしまった場合、残念ながら今までの経験上、乾いた雑巾で拭き取るしかありません。
乾いた雑巾で拭き取り、濡れ雑巾で、最後に乾いた雑巾で拭き取ることでしょう。
拭き残しがあると、本当に滑りやすいので十分に注意してください。
まとめ
とろみ剤を使用することで安全に食事を食べる事ができます。
その反面、使用方法を間違えると、ムセたり、喉に詰まったりととても危険なものになります。
高齢者は毎日の状態が変わりやすく、昨日は食べたけど、今日は食べるのが難しい。ということもたくさんあります。
安全にとろみ剤を使用して食事をするためには話をしたり声掛けを行い、観察を行ってから食事を提供する必要があります!
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