こんばんわ!現役介護士がんちゃんです!
介護をする中でも特に重要なのが「安全に食事をしてもらうこと」です。
お年寄りになると筋肉が衰え、同時に飲み込む力や噛む力が低下し、なかなかうまく食事できない人もたくさんいます。
そこで今回は介護現場で大活躍のとろみ剤についてご紹介したいと思います。
介護で欠かせないとろみ剤とは?
とろみ剤とは飲み込む動作が低下し、飲み込んだ水分や食べ物が気道に入る危険性が高い人に使用するものです。
誤嚥(ごえん)をすることで窒息を起こし、亡くなることもあります。ニュースを見ているとのどに食事を詰まらせ窒息してしまうケースがたまに取り上げられていますが、その多くが高齢者です。
嚥下レベルの低下したお年寄りがのどに食事が詰まるのを防ぎつつ、しっかりと口から食事をするためにとろみ剤は欠かせないものになります。
介護施設だけでなく、自宅でも気軽に利用できるので、在宅介護にも欠かせません。
おすすめのとろみ剤は下記の記事で解説しています!
とろみ剤の種類を徹底比較!現役介護士がおすすめする商品5選
とろみ剤は飲み物以外にも利用できる!
とろみ剤は飲み物にしか利用できないと行われている方も多いですが、そんなことはありません。とろみは食事にも使用可能です。
わたしの経験上ミキサー食に利用したり介護食に定番のお粥にも使用することができます。
お粥のミキサーは毎日同じ固さのものが出来上がるとは限りません。時には緩いこともあります。お粥のミキサーでは極少量の水加減で硬さは変わり、新米か古米でも全く変わるからです。
またゼリーをそのまま召し上がることが出来ない方もいます。その方にはゼリーをミキサーにかけ提供します。その際に水っぽくなり提供が危険と感じた時にはとろみ剤を1/2量~1杯程入れ、提供することもあります。
とろみ剤の適切な使用方法
とろみ剤の利用方法は非常に簡単です。
コップに入った水分の中に入れかき混ぜる。
というだけです。
しかしただとろみ剤を入れてかき混ぜるだけではダマが出来たり、コップの底にとろみ剤が沈殿してしまうケースがあるので注意が必要です。
- とろみ剤がダマにならないようにする
- とろみ剤がコップの底に沈殿しないように気を付ける
とろみ剤を上手に使うポイント
- とろみ剤を入れながらかき混ぜる。
- スプーンでかき混ぜるのではなく、小さな泡だて器で混ぜる。
わたしのこれまでの経験上、
- 熱湯
- 牛乳が入った飲み物
- 栄養補助ドリンク
- 海藻が入ったみそ汁
上記のようなものにはとろみが付きづらく、ダマになりやすいです。
そこれらのものにとろみ剤を入れる場合は小さな泡だて器の使用をおすすめします。
とろみ剤の使用量はどの程度が適切?
先ほどお伝えしたようにとろみ剤は「嚥下(えんげ)レベル」の低下した方に使用するものです。
ただし人それぞれ嚥下レベルが違うため一概にスプーン何杯とは決められていません。その方にあった量を入れることが適切です。
私の施設では水分量1カップ150㏄、それに対し小さじスプーン(5cc)でとろみ剤をいれています。
※水分○○㏄に対し、スプーンの大きさの何杯かで硬さに大きく影響します。
軽いとろみ(小さじスプーン1/2量)
とろみ剤を使用している方の中で一番軽いものになります。コップを傾ければ流れ、ストローでも吸うことができます。
今まで普通に食事していたけど、急にむせこむようになった方には軽めのとろみから始めることをおすすめします。
中とろみ(小さじスプーン1杯)
コップを傾けると少しずつ流れる固さです。軽いとろみですすってムセてしまう方には1杯量のとろみ量が良いと思います。
強とろみ(小さじスプーン2杯)
一番固いとろみとなります。コップを傾けても流れません。飲むというより食べるイメージの固さです。
とろみの”軽”と”強”では大きく異なる!
とろみ剤は量によってとろみが大きく異なります。とろみの使用でも軽とろみと強とろみでは大きな違いがあります
量を間違えると誤嚥、肺炎と言ったこともありますので十分注意して提供してください。
市販のとろみ剤は商品によって量が異なります。上記はあくまでも目安にしていただき、商品に記載されている量を参考に適切に使用してください。
とろみ剤を活用した効果は?
ある利用者様が脳梗塞が原因で片麻痺が残ってしまいました。その方は脳梗塞発症前は、とろみが無くてもほとんどムせることもなく飲んでいましたが、脳梗塞発症後以降、とろみが無いとムセルことが目立つようになってきました。
先ほど紹介した通り、とろみ剤でとろみを付けることで味は美味しくなくなります。
味がまずかったのだと思いますが、最初は全然飲んでもらえず、時には点滴で栄養補給をするような状況でした。
点滴も嫌がり、水分が全く入らなくなった時、甘いものが好きだったためジュースに軽とろみを付け飲んでもらうと、久しぶりの水分だったこともあり、何とか飲んでもらえたことがありました。
とろみは付けない事に越したことはありません。しかしとろみが無ければムセてしまいまともに口から食事ができなくなってしまいます。
なかなか難しい判断ではありますが、在宅でとろみ剤をいれる際にはなるべく入れないようにすることをおすすめします。
- とろみ剤を利用することでムセずに食事できる
- 味が美味しくないため、拒否するお年寄りもいる
【参考】とろみ剤の危険性
とろみ剤は高齢者の食事に欠かせないものですが、使い方を間違えると非常に危険です。
まとめ
- とろみは高齢者の食事にはかかせないもの
- とろみが付きにくいものがある。
- 上手くとろみをつけるために泡だて器は必須。
- 状況によってとろみの濃さを変えることが大切
- とろみが多いほど美味しくなくなる。
とろみ剤は嚥下レベルの低下した高齢者にとって大切なものです。
安全に食べる事が「食の楽しみ」に繋がると思います。
一時的な病気でとろみを使用する人もいると思いますが、一度使ったらずっと使わなければいけない物ではありません。その日、その時の状態で使用する、使用する際も量の調節を行うことができます。
とろみ剤の中には外出した際にも使用できる持ち運びタイプのものもありますので、在宅介護の際にはとろみ剤をうまく活用して安全に食事できるようにしてみてください。