こんばんわ!現役介護士がんちゃんです!
今日は認知症についてご紹介したいと思います。
介護認定を受けている方の多くは認知症を患っています。
認知症の高齢者は物忘れをするだけではなく、時には落ち着かず介護者も困ってしまう事が多い事でしょう。
わたし自身特別養護老人ホームで10年働いていても、認知症の利用者様の対応は難しく悩むこともたくさんあります。
プロでも認知症高齢者への対応は大変なのですから、在宅介護されている方はもっと大変ですよね。
今回は
- 認知症高齢者の基本的な対応
- 実際に施設で行われる対応
- 在宅介護の方でも簡単に始められる認知症高齢者の対応
を私の経験をもとに紹介します。
在宅で、落ち着かない認知症高齢者の対応に悩んでいる方は是非参考にしてください。
落ち着かない認知症高齢者への5つの基本対応
まず落ち着かない認知症高齢者の基本的な対応は以下の5点です。
- 会話をするときは目線を合わせる
- 傾聴する
- 否定しない
- 叱らない
- スキンシップを大切にする
※傾聴(傾聴)…耳を傾けて話をきくこと。共感すること。
① 会話をするときは目線を合わせる
人間は上から話をされると
と心理的に感じてしまったり、威圧感を与えてしまうこともあります。
特に高齢者の多くは車いすに乗っていたり、私たちよりも身長が低い方が多いので、特にそのように感じてしまいがちです。そういった不快感や威圧感を与えないよう、会話をするときは必ず目線を同じに高さに合わせましょう!
同じ目線で話をすることで、認知症の方は安心感を得られます。安心することで心が落ち着き、行動面でも落ち着いて過ごせることに繋がります。
大変かもしれませんが、車いすの方には立ち膝で背の低い方にも同じ目線で会話をしましょう。
② 傾聴(けいちょう)する
認知症高齢者にはとにかく傾聴しましょう!
※傾聴(傾聴)…耳を傾けて話をきくこと。共感すること。
傾聴することで、安心感を与えられます。
訴えの多い方に対しは、
- まず話をとにかく聴く
- 受け入れる
- 共感する
という3つのステップがとても重要で効果的です。
実際に施設で行われる傾聴対応
例)普段は穏やかな女性利用者様。認知症があり、職員を呼び止めは「何でこんなところにいるのか分からない、家に帰して」等と表情を険しくして話されることがあります。
「○○の理由でここにいるんだよ。身体の調子が良くなれば、家にも帰れるよ」
などの話をしても一切聞き入れてもらえません。
反対に、相槌をうち、
「そうだよね。そうですね」
と傾聴、共感することで次第に表情が和らぎ、納得されることもあります。
話を言い聞かせて納得させるのではなく、話を聴いて納得してもらう事が重要です。
③ 否定をしない
認知症高齢者の方は少し怒りっぽくなる傾向があります。
在らぬ疑いをかけられたり、変なことで怒ったり・・
在宅介護でも「すぐに怒ってしまう認知症高齢者へストレスが溜まってしまう・・」という方も多いのではないでしょうか。
そんな場面に直面したら「否定をしない」ことが重要です。相手の主張を否定することでさらにイライラさせてしまい状況が悪化してしまう事があります。
「ダメ」「それは違います」という発言はなるべく控えた方がいいでしょう。
このような発言は認知症高齢者にとって、精神的に辛くさせてしまい、余計に怒らせてしまいます。
認知症高齢者へ子供を諭すような言葉使いをされる方もいますが、これは逆効果です。
実際に施設で行われる「否定しない」対応
例)認知症高齢者の中には物盗られ妄想というものがあります。物を盗られていないのに盗られたと勘違いしてしまうことです。
そのときは「そんなことないです」「そんな人はいないです」という声掛けよりも「一緒に探してみましょう」「引き出しに入っているかもしれません」といった声掛けが良いと思います。
一緒に探すことで認知症高齢者に安心感を与え次第に落ち着くことが多いです。
④叱らない
認知症の高齢者を叱ることは決してしてはいけません。
「叱らない」は認知症方への対応で一番してはいけないことです。先ほどにも話をしましたが相手は人生の大先輩です。
しかし在宅介護では自分の両親の面倒を見ている方が多いと思います。両親にはきつく言いたくなる気持ちは十分に分かりますが、イラっとしたらまずは深呼吸して落ち着いて下さい。後々叱ったことの反動で機嫌が悪くなり落ち着かなくなることもあります。
実際に施設で行われる「叱らない」対応
例)食べる事が大好きな男性利用者様
食事を食べ終えてから1時間程経つと「おれは飯を食っていない」「飯は何時から?」と引っ切り無しに訴えてきます。
そのとき職員が「もう食べたよ」「全部食べていたよ」と言っても「食べていない」の一点張り。
こういう場合は、「いいかげんにしなさい!さっき食べたでしょ!!」と叱ってはいけません。
温かいお茶を出し、昔の仕事の話、家族の話、趣味の話をしているとそのうち食事の事は頭から離れ落ち着かれる方もいましたので、話を逸らすこともテクニックのひとつです。
⑤スキンシップを大切にする
スキンシップとは認知症高齢者の手を握ることや摩ることです。
タクティールケアという言葉があるようにタッチ、摩ることで図ることで安心感を与えることができます。
タクティールケアとは
スウェーデン発祥のタッチケア。押すという感覚より、タッチする、優しく包み込むというケアになります。
実際に施設で行われている「スキンシップ」対応
例)認知症高齢者は不安を抱える人が多いです。
その時私たちはまず何があったのか、話を行います。それでも納得されず、不安を取り除けない方には、なんとなく手を伸ばし、手を握ったり、摩ることをしています。不思議とこの対応で落ち着かれる方も多いのです。
※全員の方が解消されるわけではありませんし、手を握られることに抵抗のある方もいます。
実際に福祉先進国スウェーデンに行った時の話
私は学生の頃、海外研修で福祉の先進国スウェーデンに行きました。
その時にスウェーデンの職員は認知症高齢者に目線を合わせ話を行い、手をタッチする、摩るという行動をとられていたことを覚えています。
まさにこれがタクティールケアだったのです。福祉の先進国でも活用されているものはやはり本物ですよね。
【プロが教える】意外とおすすめ認知症高齢者の対応
認知症高齢者への5つの基本対応をご紹介しましたが、あくまでも基本中の基本です。
という方は以下の3つを在宅介護でも取り入れることをおすすめします!
i 洗濯物を一緒にたたむ
洗濯物を一緒に畳むことで落ち着かれる方もいます。
一緒にたたみ、「昔からやっているから慣れているね」「昔から畳むことが上手だよね」などと会話しながら行うと良いでしょう。
ⅱ掃除をお願いする
掃除もおすすめです!
掃除でも掃除機を使うより、掃き掃除がおススメです。掃除機は昔からあるものではありませんし、高齢者には重たく転倒の危険もある為、ほうきとチリトリで掃除をしてもらうと思った以上に手際よく掃除をしてもらえます。
日常生活における家事を取り入れることで、昔行っていたため手際よく行ってもらえることが多いです。
わたしの経験上
掃除は面倒くさいものえですが、認知症高齢者は不思議と笑顔で行われることがあります。
やはりお願いされることは他者から「私は必要とされているのだ」と思いますよね。
そのことで生きがいや自信につながるケースも多くありますので行ってみて下さい。終了後は「ありがとう」の一言を忘れないようにしましょう。ねぎらいの言葉をかけることで、お互いの関係も保つことができます。
決して強制ではありません。行いたくないときは誰もがありますので、そのような時には無理して行う必要はありません。
趣味や得意な事を行ってもらう
趣味を行ってもらうといっても高齢者が身体を動かし、同じことは出来ません。
例えば相撲が好きな方には、相撲をテレビで見てもらう。相撲の本を読んでもらうことは出来ますよね。
他に料理が得意な方には、一緒に料理することが良いかもしれませんが、毎回行うとお互いが疲れてしまいます。料理雑誌やレシピ本を渡し、今日の夕飯を決めても良いですよね。
趣味や得意なことは皆それぞれ違います。何をしてはダメということはありませんので積極的に取り組んでみて下さい。
認知症高齢者への対応のキーワードは「安心感」
- 会話をするときは目線を合わせる
- 傾聴する
- 否定しない
- 叱らない
- スキンシップを大切にする
※傾聴(傾聴)…耳を傾けて話をきくこと。共感すること。
- 洗濯物をたたむのを一緒に行う
- 掃除(掃き掃除)を行ってもらう
- 趣味をしてもらう
今回認知症高齢者の落ち着かない方の対応をいくつか紹介しましたが、「安心感」を与えることが全てにおいて大切です。
認知症高齢者だけに限らず人間不安があると落ち着いて過ごせません。特に認知症高齢者の場合はふチョットした行動を見逃さずに不安になる前に安心できる対応、声掛けを行うことが大切です。
普段と違うと思ったらまずは話を聴き、共感する。ただこれだけで安心感を与えられます認知症高齢者が安心した生活を送るには日々観察することが大切なのです。